【Special Thanks】
札幌駅北口から程近い「茶房石の蔵ぎゃらりぃはやし」さん。名前のとおり、カフェと隣接しているのは、趣のある石(札幌軟石)でできている蔵。1F・2Fともに、週ごとに異なったアーティストによる展示会が催されるギャラリースペースになっています。カフェには、古材のぬくもりを感じることのできる床や吹き抜けの天井、古木のテーブルや椅子が並んでいます。
茶房 石の蔵 ぎゃらりぃ はやし
札幌市北区北8条西1丁目1-3
tel. 011-736-0884
営業時間:10:00~17:00(日によって早く終わることも有)
定休日:水曜日
その他:店内喫煙可
もともと質屋の蔵として建てられたこちらのカフェ。建築時期はなんと昭和初期。さらに、ギャラリーとして活躍している蔵に関しては大正初期という歴史ある建物なんです。オーナーさんがカフェを始めた頃、改装されてモダンな印象の室内をあえて、古き良き物は活かすべき、と床の木を裏返して元に戻したり、2階の納戸を取り払い、当時の土壁や梁の見える吹き抜けにしたのだとか。天井を見上げると黒塗りの古木。それは決して新築では表現できない「重み」を感じさせ、その建物が生き抜いてきたという長い歴史を物語っています。それが「古民家」という古い建物の魅力なのかもしれません。
木の家に愛着を持って暮らしてきた歴史を持つ日本人にとっては、どれだけ先進的な技術が進んでも、潜在的に「木」に対しては、古く、良い木であればなおさら、懐かしさを感じたり、落ち着きを感じたりするのではないでしょうか。最近は新築を建てる際にも、もう使わなくなった日本家屋の廃材をあえて使用することにより、その空間に古く良い物をプラスして新しい物を作るといった動きが盛んです。そこにはきっと、私たち日本人の身近にあったものを大切に長く使うという伝統が忘れられていない証拠なのでしょう。古民家カフェには、その「温故知新」の空間と、「人」が織り成す温かさが、そこに集まる人々に「居心地の良さ」を提供してくれるのだと感じます。
カフェ内には、オーナー、はやしさんが骨董品屋で見つけてきた年季の入った箪笥の上に、お気に入りの陶芸作家さんによる器が並んでいたり、大きな壷に季節の植物が生けられたりしていて、「何もこだわりなんてないのよ。私、適当だから」と笑う、オーナーさんの人柄が随所に出ている気がしました。実際、取材時にカウンターに座り、気付けば、はやしさんと話が弾んでいた、という他では味わえない居心地の良さを感じました。そう、「居心地の良さ」とはその空間だけでなく、そこに居る「人」という要素がとても大きいのです。
頑張りすぎず、肩肘を張りすぎない。そんな余裕が生み出す、心地よい空間が、訪れる人の気持ちをホッとさせるのかもしれません。