お茶の美味しい淹れ方

皆さん、最近急須を使ってお茶を飲んでいますか?ペットボトルの緑茶は飲みますが、急須から淹れたお茶を飲む機会は少なくなりましたよね。そもそも、急須を持っていないという方も少なくありません。昔の団らんにお茶が欠かせなかったように、ほっと一息の時間にお茶を取り入れてみませんか?今回は、お茶の美味しい淹れ方とお茶にまつわる知識について、玉翠園の日本茶インストラクター、玉木さんにお話を伺ってきました。

【Special Thanks】
昭和八年創業、業界人が足しげく通う、言わずと知れた日本茶専門の老舗。2名の日本茶インストラクターが在籍。カルチャーセンターや学校等の教育現場などでの講師も務める。

お茶の玉翠園

札幌市中央区南1条東1丁目1番地
TEL:011-231-1500  FAX:011-231-1502
本店営業時間 午前8時~午後6時(月曜日~金曜日)
       午前8時~午後4時(土曜日)
定休日 日曜日、祭日
メール:info@gyokusuien.co.jp
WEB:http://www.gyokusuien.co.jp/

美味しいお茶の淹れ方

<基本>

  1. 茶葉の量:一人分は砂糖スプーン1杯(2~3g)。人数分を急須に入れる。
  2. お湯の温度:70度~80度(苦味の成分カテキンは80度以上のお湯でどっと出てくるのでまろやかに淹れたいときはお湯を冷ます。)
  3. 蒸らし時間:急須にお湯を入れて60秒~90秒(じっくり待ちましょう)

この3点をしっかり守ることで、甘く美味しいお茶をいただけます。

<淹れ方>

  1. 使う茶碗にお湯を入れます。(冷たい茶器にお湯を注いだ時点で湯温は約10度下がると覚えておくと便利です)そうすることで、湯冷ましができ、飲む量を正確に測れ、茶碗を温めることができる、一石三鳥なのです。
  2. 湯冷ましした茶碗のお湯を急須に移し、60秒~90秒待ちます。(針のようにまっすぐな形状のお茶は90秒、多少形状の細かいお茶は60秒と覚えておくと良いでしょう)
  3. 急須は振らないで抽出する方がまろやかに淹れられます。注ぐときは、例えば茶碗が3個の場合は1,2,3と注いだら3,2,1と戻るように注ぎ分けます(円を描くように注いでしまうと濃さが一定になりません)。そして全ての茶碗に最後の濃い一滴を注ぎます。(最後の一滴には旨みが凝縮されていますので必ず入れましょう。また、急須にお湯を残すと二煎目、三煎目が苦くなってしまいますので要注意です)

茶葉の賞味期限と保存方法

密封容器に入れ常温なら1ヶ月。1ヶ月以内に飲みきらないのであれば、開封後は完全に密封して冷蔵庫、または冷凍庫での保存がおすすめ。

急須を選ぶポイント

まずは急須を用意していただきたいと、玉木さん。玉翠園さんでは、日本茶の普及の為に店頭で高価な急須も格安で販売されています。実は急須にも良い、悪いがあるそうです。急須の全面だけに網があるもので、網目が広いものや、網目がポコンと内側に飛び出ているタイプが目詰まりせず、美味しくお茶を淹れられる急須。網目が極端に狭いと茶葉が詰まることがありますし、逆に、広すぎたり、茶こしが取り外しの出来る急須ではお湯の量が少ない場合、茶葉が十分に浸らず、薄い味のお茶になってしまうことがあります。

<良い急須の例>

網目が広いタイプ

網目がポコンと内側に飛び出ているタイプ

お茶にまつわる知識

全ては皆同じ茶葉

緑茶、烏龍茶、紅茶。実は全て同じツバキ科のチャ(学名:カメリアシネンシス)という植物から出来ています。葉を摘んでからすぐに熱を加えて発酵を止めたものが緑茶。発酵させたものが紅茶。その中間、半発酵の物が烏龍茶になります。カフェインは紅茶の方が緑茶より多く、緑茶に多く含まれるビタミンCは紅茶には全く含まれないのですよ。

緑茶の水色は変化する

急須で淹れたお茶は時間が経つと最初、緑色のものでも赤黄色に変化します。それはお茶が酸化するから。ペットボトルのお茶には酸化防止剤が入っているので、いつまでも水色の変化が無いのだとか。無添加を好むなら、是非急須で!ちなみに水色は高級なものほど、淡い黄色か緑色です。赤黄色や濃い黄色の水色はあまり上級品ではないそうです。

緑茶は体にとっても良い

日本茶は他のお茶に比べ、ビタミンCが豊富で気になるカロリーもゼロ。他の食物にはあまりみられないカテキンを多く含有しています。カテキンには抗酸化作用や血糖値抑制効果等数多くの健康に有効な効能があります。また消臭、殺菌作用も強く、江戸時代よりお寿司屋で必ず緑茶が添えられるのは、生ものを食べてるときに一緒にお茶を飲むとお腹をこわさないと昔の人は経験で知っていたからなのです。

玉露はなぜ高い?

玉露は畑をわらや化学繊維で覆い、日光を遮り、茶葉が光合成をできなくさせるのです。そうすることにより茶の木は地中から栄養を取ろうとします。その時に肥料をたっぷりやることにより土から栄養を吸い上げ、葉に蓄えさせるのです。そうすると、甘味成分のテアニンが多くなり、甘味の強い茶葉になるのです。また、煎茶は年に約3回、葉を摘むのに対し、玉露は年に1回しか摘みません。手間と貴重さで高価なお茶になるのです。ちなみに、“抹茶”は、玉露を石臼で挽いたものなのです。だから価格も高いのですね。

玉翠園さんは給茶スポット

玉翠園さんは、象印「マイボトル」キャンペーンの「どこでもカフェ」の給茶スポットに指定されています。大人もマイボトルを持ち歩き、環境への貢献と、健康的なライフスタイルを提案するというこの取り組み。玉翠園さんでは、使い捨てのペットボトルを少しでも減らす事に貢献し、急須で淹れた緑茶本来の美味しさを味わって頂きたいと、賛同されたのだとか。早速、私もボトルを持参し、美味しい煎茶を淹れていただきました。

保温性の高いボトルなら大きさを問わず、好みの茶葉で淹れていただけます。ワンボトル200円(今回淹れて頂いた茶葉は100gあたり1500円程の茶葉だそうです!)
本当にお勧めです!この他にも、お茶の歴史にもとてもお詳しい玉木さんから、楽しいお茶にまつわるお話を伺いました。知れば知るほど、日本茶の奥ゆかしさを感じる時間を過ごせました。

Writing by/森 いづみ