カラーとインテリア、という話題になりますと、センスのよい空間づくりや、色彩が肉体に与える影響、風水、などのテーマが多いですが、色彩の役割は、センスのよい空間を作るだけではありません。
安全に配慮した色彩計画も、家づくりには大事なこと。年齢を重ねていくにつれ、目の機能は衰えていくものです。ちょっとした配慮が、身を助けることもあるでしょう。
今日は色彩と『安全』についてのお話をしてみたいと思います。
30代半ばを過ぎる頃には、兆候が出始めるといわれる老眼ですが……
最近は、スマホ老眼、という言葉もあるくらい、若年化が進んでいるそうです。目のピントを合わせる伸縮自在のパーツが、硬くなってしまうことで「ピントを合わせる」機能が衰えてしまいます。
この「硬くなる」状態に対しては、弾力を取り戻すために、遠くを見る、遠くと近くを交互に見る、など対策の情報はいろいろ出回っていますね。
この「硬くなる」部分が『水晶体』です。この水晶体には、もう一つ、加齢によって大きな変化が訪れます。
水晶体、という名の通り、透明だったものが、蓄積された紫外線や、加齢の影響で、次第に黄みがかっていきます。
こうなると、真っ白なものが黄ばんで見え、「色と色の差」が見えにくくなっていくのです。
よく挙げられる例が、「お皿についた食べ残しが見えにくい」。というものです。特に卵の黄身のような、皿にこびりつきやすいものが、白いお皿についていても気づくのが難しくなります。
『白と黄』のように明るい色同士の場合もですが、『黒と青』のように暗い色同士も見にくくなります。
大事なのは、隣り合う色同士に、はっきりとした「明度差」をつけることです。
明度というのは色の明るさの尺度で、白は「明度が高い」、黒は「明度が低い」色になります。「白と黄色」は「明度の高いもの同士」ですから、「明度差がない」のです。
「白と黒」「黒と黄色」のような明度差のあるものは、認識しやすい差です。安全のために段差にはわかりやすい明度差をつけることは、安全の面でとても有効なことと言えます。
階段につける滑り止めも、色の差よりも「明度差」を意識することが大事です。
いかがでしたでしょうか?
少しの工夫で危険が避けられるのならば、将来の家族のためにも自分のためにも、安全な色彩計画を取り入れたいものです。
家の中での転倒が大きな事故のつながることも多いのが現実です。ポイントを押さえて、安全な家づくりをしたいですね。
次回も引き続き、安全と色彩のお話をしてみたいと思っています。
プロフィール
アズマ レイコ / カラーコーディネーター
2003年に函館でカラーサロンをオープン。パーソナルカラー・パーソナルスタイル診断の他、色彩心理のセミナー、講座を開講。結婚後の転勤で、2007年から札幌での活動を始める。『HappyColorLife』主催。AFT1級カラーコーディネーター。2児の母。
イントロダクション
色彩の知識を、楽しく!わかりやすく!使える形で!お伝えすることをモットーにカラーコーディネーターとして活動しています。色彩は生活に密着した、生活を彩る要素です。このコラムでは、生活に役立つ色彩のマメ知識をお届けできればと思っています。楽しく賢く色彩のパワーを利用してみましょう!