「自分好みのインテリアを作りたい」というのが誰もが持っている希望です。でも自分好みって?自分で分かっている人はどれくらいいるでしょう。洋服の好みや食べ物の好みはたくさんのアイテムの中から自分の好きなモノを’選ぶ’という事をしているのに対して、出来上がったお部屋をたくさんの中から’選ぶ’という事はできません。’作り込む’しかないのです。しかもお金がかかります。そしてインテリアにも流行があります。洋服のように着なくなったらフリーマーケットに出しましょと気軽にできるものではなく、自分の好みも変化していきます。
住宅を作っていてふと思うのですが、〈家はシンプルに作るのがいいのではないか?〉と。
インテリアを作っていく過程には同時にいくつものことを考えていかなければなりません。
好きな色は?と聞かれると赤・青と答えられるかもしれませんが(色)と同時にインテリアでは(柄)(形)(線)(大きさ)(光)(素材)などを同時に考えます。そして私が最も気になるのが(風合い)です。塗り壁のようにザラザラしているのか、ビニールクロスのようにツルツルしているのかという事です。
キッチンを例に出しますと、鏡面のピカピカ光った扉にするのか、木の素材にするのかではそれだけでイメージがはっきりと違います。ここに人の好みが隠されていると思うのです。
自分の好みを知ると同時に「好みの良さ」も身につけたいものです。
それにはモノを見る目を養う事が大切です。その物の色は?柄は?風合いは?etc…
といつもよく注意して見る事です。プロの色の識別数は普通の人の何倍にもなるそうです。
何かいつもしっくりこないと思うのは当然かもしれません。’モノを見る目’がどんどん鍛えられているのです。
時間をかけて好みのインテリアに’作り込む’のもいいかもしれませんよ。
プロフィール
川岸 敦子 / 二級建築士
短大卒業後、コンビニエンスストア本部に入社。インテリアの仕事をめざして退社後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー小樽校に入学。インテリア関連の会社を経て1991年に独立。母校にて、コーディネーションの講師を務めながら、戸建住宅、マンション、ホテル等のインテリアデザインの仕事に従事し、1997年インテリアデザイン会社 有限会社ブランを設立。住宅、マンションのモデルルーム、医療関係のインテリア等に携わる2001年 二級建築士を取得。小学3年生の子どもを持つ母親でもある。
イントロダクション
昨年末、事務所の引越しをしました。11年間ため込んだ、物・物・物の数々を整理しながら、次の場所では自分の為に空間を作ろうと決めました。一番最初に考えたのは、仕事をする時の”ここち良さ”。機能性はもちろん、美しさを前提に。インテリアという自分の仕事を見詰め直す、いい機会でした。このコラムでは、皆さんと一緒に”ここち良さ”を考えて行きたいと思います。