キッチン本体に対応するビルトイン機器には、工事によりシステムキッチンと一体化される加熱機器類があります。電気系ではIHヒーターや電子レンジ、電気オーブン、コンベンションレンジ、ハロゲンヒーター、ガス系ではガスコンロを指します。これらは機器が部材化されシステムキッチンに取り付けることでその機能性を発揮します。IHヒーターは、専用鍋や清掃性など広く知られるようになりましたが、一方でガスは鍋も選ばず、ゴトク部分の清掃性がIHヒーターに比べて劣る、また視覚で炎を認識できることから安全性においても、不安要素が強いイメージがあります。今回は、あえて、「ガスでしか」使えないお鍋を紹介して、賢くガス機器を使いこなす考察を行います。
実際にキッチン空間において、ガス機器がどれほどの使い勝手と感じられているかを示すデータをみてみましょう。新宿に、住まいとインテリアのリビングデザインセンターOZONEがあります。そこで今、お住まいのキッチン設備についてというアンケートを行った結果があります。
500名の方にアンケートした結果です。
コンロのタイプは、住宅別に取ったアンケートです。
戸建て住宅(注文) | ガス88%・IH11%・その他1% |
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戸建て住宅(建売り) | ガス95%・IH5% |
集合住宅 | ガス95%・IH5% |
IHのシェアが伸びていると言っても、まだまだガス機器には及ばないということがわかります。
では、お使いのガス機器でもっとも気にいっているところランキングトップ5です。
直火・火力の強さ・熱効率の良さ | 93% |
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3口同時調理の機能 | 88% |
安全性・タイマー機能 | 72% |
つかいやすさ | 71% |
火が見えると料理がしやすい | 60% |
反対に、ガスコンロの不満なところランキングトップ5です。
清掃性がわるい | 95% |
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火災が心配 | 52% |
使いずらい | 50% |
夏場、コンロ周りが暑い | 29% |
火力調整がしにくい | 27% |
不満ランキングにある、火力調整ができないという点についてみていきます。
IHの場合、3口コンロの場合は総体として最大火力ワット数が(4.8キロワット)などと決まっているので、ひとつのコンロで最大火力、例えば3キロワットを使用すると、他のコンロの火力は自動的にダウンするしくみになています。反対にガスコンロは三口全部が思っている火加減で使えるのです。
また、最小火力は確かにガスコンロではそこまでの調整は難しいのですが、最大火力における料理の味の美味しさは、IHでは引き出すことはできません。炎が目に見え脳に認知されるので、火力調整はガスだからこそできることになります。
3口同時使用=最大火力ワット数4.8KW
ガス機器は鍋を選ばないことも、ガスコンロのシェアがまだ健在である一因でもありますが、今回はガスでしか使えないお鍋のご紹介です。
フランスのブランドのモビエルの銅の鍋です。 スタイリッシュなフォルムも美しく、このカーブが人気の鍋です。
銅の鍋は炎の力を繊細に伝え、砂糖やバターを溶かすのに最適です。キャラメルを煮詰めたり、果物を煮込んでジャムを作ったり、長時間煮ても色がさめないという利点もあります。
フランスは料理でも有名ですが、フランス料理の職人にも愛用され、モネの自宅の壁にもかけられていたという 耐久性のあるガスの魅力を最大に引き出してくれる鍋です。
耐久性をいえば、タイタニック号の厨房からもこの鍋が引き上げられたという逸話を持つほどです。
また、モビエルの鍋はキレイな紙で包装されています。再生紙を使っているのも企業哲学の現れだと言えます。この高い品質とフォルムの素敵なデザインの鍋は、昨年秋に輸入されています。
こんな素敵なお鍋でコトコト煮込み料理をしたり、果物を煮込んだり、そんなキッチンが目に浮かぶのも主婦にとってはあこがれと夢と幸せな気持ちになれるのです。
ビルトイン機器のプランを考えるときは①機器の決定②レイアウト③機器の選定の順で行います。また各機器の電圧や消費電力、アース線や回路や電源の位置の確保も考慮しなければなりません。機器の収まりやスペース、メンテナンス方法、も大事な視点になりますし、使い勝手や作業効率の向上については、機器の選定とともに、ライフスタイルや食生活を把握し、使用する鍋の種類にこだわりをもって見るとビルトイン機器の選び方にも幅が広がっていきます。
賢く楽しくキッチン空間を創造してください。
プロフィール
阿部 美子 / キッチンスペシャリスト
専業主婦を経て二人の子どもを一人で育てながら 水廻りメーカーのアドバイザーとして約10年、従事。「キッチン」の奥深さと魅力に惹かれ、キッチンスペシャリスト資格、(社) 日本ライフスタイル協会北海道唯一のリビングスタイリスト講師、CS(顧客満足クレーム対応)スペシャリスト 日本実務能力開発協会認定コーチの資格取得。(社) 日本デザイン学会 鈴木 昇氏に師事。「Happyキッチン講座」「リビングスタイリスト講座」「キッチンお悩み相談室」を随時開催。「お悩み解決!ココロもスッキリ!快適なキッチンから始まる楽しい暮らし、家族の笑顔を応援します」をコンセプトに始業。ララプラスキッチン代表。
イントロダクション
毎日つかうキッチン空間だからこそ気持ちよく心地よい空間でありたい。おかあさんのニコニコした顔から家族の安心が生まれます。おかあさんがいつもルンルン♪お料理をつくってルンルン♪おかたづけができる、そんな暮らしのヒントを女性のミカタ(味方&見方)で お伝えします。→Blog「キッチンアドバイザーのミセスのミカタ」