第2回 家事の今と昔とキッチン

主婦が家事の中で一番苦手なこととして
①「後片付け」、②「献立を考える」、③「調理」が1位から3位を占めてます。

キーワード

今は、仕事をもっている有職主婦も多く、時間をできるだけ有効に、「手早く」、「カンタン」にという『時短』がキーワードのライフスタイルになってきて、かつ、住宅事情も変化し、「サイレント」で、「コンパクト」な機器やキッチンのカタチが望まれるようになりました。

その結果 本来、主婦が家で行っていた家事労働が社会で専門化されて、商品やサービスとして、代行されるようになり、またキッチンの設備機器として供給され進化することで随分軽減されるようになりました。

家事の産業化とキッチンの音

たとえば食材の献立宅配サービスやお惣菜やカット野菜、お弁当専門店などがたくさん出て来たり 食器洗い乾燥機、電子レンジ、IHヒーターなどの登場で家事の効率化や省力化がされたり といった具合に・・それを利用することで、生ゴミが減り、忙しい時には、とても便利で、食器もたくさん出さないですむ、使い捨てトレイに入っている物は、後片付けの手間も省けて一番苦手なことの家事作業から解放されて、気持ちが「ラク」になるメリットがあるし、反面、容器ゴミがでるとか、費用などのデメリットもあります。

ところで、この家事労働が社会や機器の進化で役割が分担されるに伴ってキッチン空間の中で注意して「音」をよ~く聞いてみるとどんな「音」がきこえますか。

「ピー」「チン」「ピッピッ」・・・

いわゆるデジタル音が多いことに気づきます。

この「音」だけからでもキッチンにおける家事作業の変化がわかるのものです。

電子レンジ、トースター、炊飯ジャー、ガス機器やIHのナビ。

昔は、「トントントン」「シュッシュッ」・・

まな板に包丁があたる音やご飯がたける時の蒸気の音などで「おかあさんがキッチンにいるんだな」とか「ご飯の時間だな」などと、おかあさんの存在やおかあさんの匂いや時間の経過を感じる事ができました。
それは「安心」だったり、「ぬくもり」だったり、家族の存在を生活の中で無意識に感じていたと思います。

キッチンスタイルの変化

一方、住宅事情によるキッチンのスタイルは、効率よい作業ができる動線の確保や、収納スペースをとりながら、「サイレント」が軸になる商品が登場しています。
静音タイプの換気扇や食洗機、水の音が響きにくいサイレントシンク、引き出しがスーっとしまる、ブルモーションレールを採用した引き出しタイプのキャビネット、また、お惣菜の購入や外食産業の利用は生ゴミを減らし、それはシンクのゴミカゴが浅型に変化するなどのキッチンのデザインにも影響しています。
このような機器の進化は北側に個室として位置していたキッチン空間が、居間の中に存在感をしっかりアピールできる空間になりました。
キッチンの配置の変化は家族のコミュニケーションや団らんも兼ねた空間へと役割も移り変わって対面式スタイルのキッチンやカウンタースタイルのキッチンも主流になってきました。

今も昔も・・・

家事労働の軽減や家事労働が産業化されていくこととリンクしてスピーディな作業、カンタンな動作、清潔さ、安全さ、臭い、音、五感と時短、身体的な負担の軽減を課題に、キッチンのもつ役割も進化していきます。
家族のライフスタイルの中でなにを優先して、キッチンを選ぶか、そんな視点から自分に一番適切なキッチン空間を考えてみましょう。
そして、どんなに合理的で機能的になっても、キッチンにたつおかあさんのぬくもりや笑顔が、家族のハッピーになること、今も昔も変わりません。

阿部 美子

プロフィール
阿部 美子 / キッチンスペシャリスト

専業主婦を経て二人の子どもを一人で育てながら 水廻りメーカーのアドバイザーとして約10年、従事。「キッチン」の奥深さと魅力に惹かれ、キッチンスペシャリスト資格、(社) 日本ライフスタイル協会北海道唯一のリビングスタイリスト講師、CS(顧客満足クレーム対応)スペシャリスト 日本実務能力開発協会認定コーチの資格取得。(社) 日本デザイン学会 鈴木 昇氏に師事。「Happyキッチン講座」「リビングスタイリスト講座」「キッチンお悩み相談室」を随時開催。「お悩み解決!ココロもスッキリ!快適なキッチンから始まる楽しい暮らし、家族の笑顔を応援します」をコンセプトに始業。ララプラスキッチン代表。

イントロダクション
毎日つかうキッチン空間だからこそ気持ちよく心地よい空間でありたい。おかあさんのニコニコした顔から家族の安心が生まれます。おかあさんがいつもルンルン♪お料理をつくってルンルン♪おかたづけができる、そんな暮らしのヒントを女性のミカタ(味方&見方)で お伝えします。→Blog「キッチンアドバイザーのミセスのミカタ」