前回は、家族が幸せに暮らすための住まいの「カタチ」をどう考えるかというテーマで、新築・中古の一戸建て住宅購入の際の、それぞれのメリット・デメリットをお話しさせていただきました。
今回はマンション編という事で、新築マンション・中古マンションについてのお話に加え、賃貸の場合も合わせて解説いたします。
○メリット
設備は最新のものが装備されていますし、セキュリティシステムがかなり高性能なものが増えています。
購入のタイミングやオプションで、間取りの変更や装備の変更も可能な場合があります。
住人は皆さんが「はじめまして」ですので、仲良くなりやすいという特長もあります。
●デメリット
新築マンションがブランド化していることもあり、価格が中古に比べ圧倒的に高く、逆に購入後は資産価値の下がり方が早い傾向にあります。
新築が建つ場所は限られますので、購入場所やエリアの選択肢が少ない点もデメリットでしょう。
また新築に限らず、マンションは一つの建物内で集団で生活しているので、音など居住者間トラブルが起こることがありますし、例えば上階の住人が水漏れ事故を起こしてしまった場合に、自分の資産が被害を受けてしまうリスクなどがあります。
〇メリット
やはり価格の安さ!ですね。築10年を超えると新築時の50%くらいまで下がっている事があります。
タイミングが合えば立地条件のいいところに出会える可能性もあり、選択肢が新築マンションよりも多いこともメリットのひとつとして挙げられるでしょう。
ライフステージに合わせたリフォームや、個性を出したリノベーションなども可能です。
また、既に住んで生活をしている方がいるので、周辺の環境やマンションの管理体制などの情報を知ることができます。
可能であれば、共用スペースに物が置かれていないか、ゴミの出し方はどうかなど確認したり、掲示板に貼られているお知らせなどチェックしてみると、マンションの住み心地など購入前に見えてくる事があるかもしれません。
●デメリット
築20年以上の中古マンションを購入するのであれば、メンテナンスの状況によって、将来的に建物の安全性や耐久性に不安が残る可能性があります。
設備も古くなっているため、リフォームしないと住みづらく、リフォーム工事費用もきちんと予算に入れた上での物件選びが必要となってきます。
また建物の状況によっては、管理費や修繕積立金が高額になる場合があります。
○メリット
賃貸ならではなのが、ライフスタイルに合った間取りや家賃の部屋に住み替えが可能だという事や、隣人とトラブルが起きてしまっても引っ越しが比較的容易にできることです。
住宅ローンを組む必要がないので破たんリスクがないことや、修繕費や固定資産税が掛からないこともメリットとして挙げられます。
●デメリット
住み続ける限り家賃を払い続けなくてはならず、払い続けても個人の資産にはなりません。
老後に家賃が払えなくなるリスク対策を、きちんと家族内・親戚内で話し合っておく必要があります。
また、自由にリフォームができず、ファミリー向けの値頃な広い物件はそう多くありません。
メリット・デメリット、向き不向き、好き嫌い…考えるポイントはたくさんあると思います。
目先のライフイベントだけに照準を合わせるのではなく、将来的に何を優先させるか、何が障害かといったあたりまできちんと試算した上で、たくさん家族で話し合って、納得した上で決めていただきたいと思います。
あなたとあなたの家族が幸せに暮らせる「カタチ」が少し想像できましたか?
プロフィール
大林 厚志 / 一級建築士・一級建築士施工管理技士
株式会社北工房執行役員、一級建築士。現場監督経験後、設計事務所にて住宅・商業施設等の設計・監理業務に携わる。現在はホームインスペクター(住宅診断士)や住宅性能評価員としても活躍。住宅関連セミナー・建築士資格試験予備校等、講師経験多数。
イントロダクション
「家」は生活に欠くことができません。家庭環境、転勤、資産や目標など「家」を求める理由は人それぞれですが、誰もが幸せになりたいという夢をお持ちです。北海道の建築に携わって30年。新築設計だけでなく、ご自宅のトラブルなども含め、さまざまな「家」に関わるご相談を承ってきました。そんな私たちだからこそお伝えできる「幸せになるための家づくり」とは。