前回はハウスメーカー・工務店・設計事務所…どこで家を建ててもらうか、というお話をしました。
今回は弊社の場合=設計事務所に家づくりを依頼した場合の「家ができるまで」の流れを、前・後編に分けてご紹介します。
それぞれ少し解説しましょう。
まずは、お客様からご相談を承るところから始まります。
自社のシステムや、お客様にとって最適な家づくりの進め方などをご説明させていただきます。
お客様との長いお付き合いのスタート地点となるので、この時間をとても大切にしています。
ここで、ちょっと注意が必要です。建物は「建てる場所」いわゆる土地がなければできません。
設計業務は土地をご購入されてからになります。弊社では土地探しのご相談も承ります。
お客様のご希望に添って、「理想の家」の間取図や外観図などのラフプラン(簡単な図面)を作成いたします。今まで言葉やイメージだけで語られてきた「家」が、はじめて「かたち」になる瞬間です。
ご提示したラフプランがご希望にそぐわない時は、遠慮なくお話しください。
この段階でプランの確定というわけではありませんが、今後設計を進めていく中で最も基本となる部分です。今まで以上にご家族で、これからのライフプランについてたくさんお話をしてくださいね。
プランが概ね決まりましたら、ご入居になるまでに必要な費用をご提示することができます。なぜなら設計事務所はハウスメーカーや工務店と違い、工事を受注し、その中から利益を得る必要が無いからです。
弊社ではその過程で法的に、また予算的に「可能なこと」と「不可能なこと」をご説明いたします。
「実現可能」な夢こそが本当の意味で「幸せになるための家づくり」だと考えるからです。
1.工事費用(家本体の工事金額・庭など外部に必要な工事金額他)
2.設計監理料
3.土地取得に関わる費用(土地代・登記料・不動産手数料他)
4.諸経費(地盤調査・建物登記費用等、確認申請・保証保険費用等、その他照明器具・造付家具費用等)
原則的に設計監理料は設計事務所へのお支払い、その他の費用は直接お客様が工務店と契約の上お支払いいただく事となります。お客様から直接お支払いいただくことにより、よけいな中間経費をカットすることが可能です。
一般的にはプランや資金計画のご提案は無料で行い、ご納得いただいたうえで契約へ進む設計事務所が多いようです。
計画図と資金計画をご了解いただいた段階で、お客様と設計事務所の間で設計監理契約を締結します。
設計監理契約とは、設計図面を作成し (設計) 、図面のとおり工事が行われているかどうかをチェック (監理=お客様の代理) するための契約です。
プランご提示用の計画図だけでは家が建ちません。工事を行うための詳細な図面(実施図面)が必要となります。
計画図と資金計画を元に、お客様と打ち合わせを重ねながら細かな部分を決定していきます。この過程がお客様にとっても、私たちにとっても、最も楽しく、また悩み多い時期となります。
弊社の場合、設計の打ち合わせはお客様のご都合に応じて10~14日に1回程度行います。トータルの設計期間は一般的には3~4ヶ月程度になります。
設計業務内容とお渡しする図面など
・基本図面の作成・提示
(配置図・各階平面図・立面図・断面図)
・外観のCGの作成・提示
・地盤調査結果に関しての所見説明
・構造計算書の作成・提示
・確認申請・許認可申請の手続き代行
・実施詳細図面の作成・提示
実施図面が完成後、お客様と設計事務所の双方で、図面内容のチェックを行います。
お客様にとっては「図面」などはじめてご覧になるもの。数字と記号ばかりでよくわからないはずです。
「家づくり」で起こるほとんどのトラブルは、この時点での私たちの説明不足と、お客様自身の誤解や思い込みからも発生します。納得がいくまでご質問してくださいね。
「幸せになるための家づくり」が悲しい結果にならぬよう、とことんチェックしましょう。
今回はここまで、、、
次回、後編で⑤~⑨についてご説明します。
プロフィール
大林 厚志 / 一級建築士・一級建築士施工管理技士
株式会社北工房執行役員、一級建築士。現場監督経験後、設計事務所にて住宅・商業施設等の設計・監理業務に携わる。現在はホームインスペクター(住宅診断士)や住宅性能評価員としても活躍。住宅関連セミナー・建築士資格試験予備校等、講師経験多数。
イントロダクション
「家」は生活に欠くことができません。家庭環境、転勤、資産や目標など「家」を求める理由は人それぞれですが、誰もが幸せになりたいという夢をお持ちです。北海道の建築に携わって30年。新築設計だけでなく、ご自宅のトラブルなども含め、さまざまな「家」に関わるご相談を承ってきました。そんな私たちだからこそお伝えできる「幸せになるための家づくり」とは。