第4回 検証2:すぐに買ってみたとしたら(2010年版)

相談者 Aさん(ご主人30歳、奥様30歳、お子さん0歳)
現在のお住まい:賃貸住宅に毎月7万円支払い
年収 450万円(ボーナス含む)
現在貯金残高 100万円
今後の貯金 毎月2万、2回のボーナス合計で20万なら貯金に回せそう。
住宅予算 3000万円で検討中

第4回 検証2:すぐに買ってみたとしたら(2010年版)

「検証1」では家賃に7万かけながら貯金した場合を検証してみました。今回は、すぐに買ってみたとしたらどうなるか、ということを考えていきたいと思います。まず、自己資金(頭金)を貯めるための11年もの間に支払う家賃のトータルコストは、この方の場合、

家賃7万円×12ヶ月×11年=924万円

900万円近くを大家さんにあげる計算になります。自分の家の支払いにあてた場合はどうなるのでしょうか?

借入3000万円を返済期間35年、金利は某信金さんの今年の目玉商品(2010年6月段階)当初10年1.55%それ以降2.25%(団信付き)で試算してみます。(注:保証料や手数料などの諸経費は貯金の100万で払ったとする。また、固定資産税は住宅ローン減税で相殺したとする。)

支払いが

当初10年 月々約92,600円(ボーナスなし)→年間:1,111,200円の支出
11年目以降 月々約100,400円(ボーナスなし)→年間:1,204,800円の支出

家賃が7万なので月々は当初10年で22,600円、11年目以降で30,400円月々の支出は増えるがボーナス払いは無し。年間の住宅に関するコストで比較すると

「検証1」が(家賃月々7万円×12ヶ月)+(頭金貯める分2万円×12ヶ月+ボーナス20万円)=128万円

当初10年 比較すると年間で168,800円
11年目以降 75,200円

ちょっと難しい計算をしましたが、この計算でいくなら購入の方が楽という結果になります。

上記の差額分を貯めて行ったとして「検証1」の購入時期の11年目で貯まる金額とローン残高が

貯まる額 1,763,200円
ローン残高 約22,141,151円

この時点で貯まった分を繰上返済したとすると11年目のローン残高は
約22,141,151円-1,763,200円=約20,377,951円

「検証1」の購入と比べると頭金600万円から諸経費で100万円引いて500万円を物件に当てたとすると2500万円のローンを組むことになります。

つまり41歳の時点で貯金を全部投入した状態とすると

検証1 ローン残高:2500万円
検証2 ローン残高:ほぼ2000万円

約500万円の差額。家賃分を返済に充てるとかなりの破壊力(?)になります。

家族の感情面も就学前に家を買っているので購入時に学区や地域なども吟味して購入すればストレスを感じる確率は下げられるかと(コラム第1回参照)思われます。また、快適な空間に長く住める、庭でバーベキューなどなど子供たちとのその時しかない時間を共有できるという視点もあるかもしれません。

自己資金、頭金の考え方として、住宅の購入の際に、各種手数料や保証料などその時々で支払う必要が出てくるお金があるので、50万円~100万円くらいはあったほうがいいとは思います。もちろん、自己資金は多ければ多いにこしたことはないし、その方の職業や家族の状況、主観によっては上記の検証が当てはまらないこともあります。
決して早く借金して買えという意味に取らないで頂きたく、”人生は1回”。その人生に住宅購入というキーワードがあった方が幸せと感じられる方はこのような考え方も参考にして頂けると幸いです。

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壽原 博信

プロフィール
壽原博信 / ファイナンシャルプランナー

FP技能士2級(国家資格)、トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)、損害保険販売資格者、住宅ローンアドバイザーの資格取得。株式会社ソニックで、マネープラン、ライフプラン作成、住宅ローンアドバイスとサポート、学資金や引退後資産形成とサポート、生損保ほぼ全社の保険の比較販売のかかりつけ対応をしている。豊富な知識と物腰の柔らかさは幅広い年代から多くの支持受けている。

イントロダクション
妻と妻のお母さんと子ども二人(男の子)のパパ。39歳。ファイナンシャルプランナーとして、保険、住宅ローン、各金融商品、税務、社会保障、法律、不動産等の幅広い知識を訓練。”生活の経済的な安定のお手伝い”をモットーに活動を続けている。