第4回 照明の効果

最近の傾向ですが若い方・熟年の方問わず「照明はあまり明るくなくてもいいです。」とはっきりとおっしゃる方が増えたように思います。私たちが”必要なところに必要な明かりを”という以前に、照明が人の心理に影響を与えることを経験的に生活者である建て主さんが感じているということなのかもしれません。
大まかに、蛍光灯は作業用で影が少なく人を興奮させる照明で、机のスタンドなどに使われているのがそうです。
反対に白熱灯は陰影を作り温かみのある色で人をリラックスさせる照明、といわれています。
そして、最近耳にするのは、LED(Light Emitting Diode) 
ですね。青色発光ダイオードが実用化されたことによって、消費電力が低く、長寿命なLEDは照明の可能性を広げました。でもまだ開発途上です。高価な上に照度も十分とは言えません。使用する時は用途をよく考える事が必要です。(照明メーカーさんから「だいぶ明るくなりましたよ」と言われそう・・・)

照明の種類

照明には全体を照らす全体照明と特定の場所を照らす部分照明、部屋の周囲を照らす間接照明とがあります。それらを適材適所に配灯していくのが理想です。さらに照明には光源である〈球〉にも種類があり、照明器具それぞれの形によって光の出方が違います。

全体を照らす照明には、部屋の天井に直接取り付けるシーリングライト・天井面に穴をあけて埋め込むダウンライトなどがあります。シーリングライトは主に蛍光灯が多く使われており、ダウンライトは最近シンプルな住宅が多いせいか人気があります。ダウンライトの光源は蛍光灯と白熱灯と半々くらいでしょうか。点灯している時間の長い居間には蛍光灯、付けたり消したりする所、例えば廊下やトイレなどは白熱灯と使い分けるといいでしょう。

部分照明には食卓のテーブルに使われるペンダント照明・壁に取り付けるタイプのブラケット照明・床や机の上に置くスタンド照明・向きを自由に変えることができるスポットライトなどがあります。これらは全体照明と組み合わせることで様々な生活シーンを用途に応じて演出することができます。
例えば居間で本を読む場合、スタンド照明の白熱灯の光だけでは周囲との明暗の差が付き過ぎて目が疲れてしまいますよね。こんな時は周囲の間接照明の柔らかな光と組み合わせてみる事をお勧めします。
照明については様々な専門的配慮と照射の方法が必要ですが、最後に一つ、お部屋に必要なワット数の目途をお知らせします。覚えておくと便利ですよ。

画像提供:オーデリック照明

蛍光灯の場合 部屋の広さ1畳に付き 10W + 10W
部屋の広さ6畳の場合 60W + 10W  70W
白熱灯の場合 部屋の広さ1畳に付き 30W 
部屋の広さ6畳の場合 180W
川岸 敦子

プロフィール
川岸 敦子 / 二級建築士

短大卒業後、コンビニエンスストア本部に入社。インテリアの仕事をめざして退社後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー小樽校に入学。インテリア関連の会社を経て1991年に独立。母校にて、コーディネーションの講師を務めながら、戸建住宅、マンション、ホテル等のインテリアデザインの仕事に従事し、1997年インテリアデザイン会社 有限会社ブランを設立。住宅、マンションのモデルルーム、医療関係のインテリア等に携わる2001年 二級建築士を取得。小学3年生の子どもを持つ母親でもある。

イントロダクション
昨年末、事務所の引越しをしました。11年間ため込んだ、物・物・物の数々を整理しながら、次の場所では自分の為に空間を作ろうと決めました。一番最初に考えたのは、仕事をする時の”ここち良さ”。機能性はもちろん、美しさを前提に。インテリアという自分の仕事を見詰め直す、いい機会でした。このコラムでは、皆さんと一緒に”ここち良さ”を考えて行きたいと思います。